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2017-02-24

Essays #10 / 時間

essay_10

Text written by Komatsu Hiroko

時間は出来事や変化を認識するための基礎的な概念で、芸術・哲学・自然科学・心理学などの重要なテーマとなっており、それぞれの分野で異なった定義がなされています。
わたしは35mmフィルムで写真を撮影しています。フィルム現像をすると撮影された順番に並んで36の画像が現れます。フィルムに於ける時間は左から右への36画像の連続した流れとなります。フィルムを6画像毎に切り順番に印画紙の上に並べて光を当てて現像することでコンタクトシートを作ります。コンタクトシートに於ける時間の流れは左端から右端へ行ったところで下段へ、また左端から右端へという6画像6段の繰り返しになります。コンタクトシートは撮影された順番にファイルに50枚ずつ貼られて保管されるので1ページから50ページへの時間の流れがあると言えます。コンタクトシートから六つ切印画紙に引き伸ばす写真を選んでプリントしますが、フィルムやコンタクトシートの保管の状態から最も効率良く作業するために撮影した順番にプリントします。
時間については多くの思想家や哲学者たちが該博な学識を駆使して論じているので、独自の考えではありませんが、時間は過去ー現在ー未来のような流れを持っているとは考えていません。その考えを視覚に置き換えるためにプリントされた写真は展示空間を構成する際には、撮影からプリントの時に参照することが出来た時間の流れからは切り離されます。撮影のときには一つの場所で位置や角度を変えてたくさんの写真を撮っているので、異なってはいるもののよく似ている写真が、撮影からプリントの時に参照することが出来た時間の流れからは切り離され、1000枚単位で壁面や床をグリット状に埋め尽くします。展示会場で一点一点の写真に注目しようとしていると、同一の場所で撮影された異なってはいるもののよく似ている写真が点在しているために、鑑賞者の既視感が刺激され引き戻される感覚に見舞われることを期待しています。鑑賞者が展覧会場に足を踏み入れたときから始まる、見ることの連続した時間の流れを分断することを意図しています。