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2017-06-03

Essays #21 / ブロイラースペース 1

essay_21

Text written by Komatsu Hiroko

2009年に銀座に在ったギャラリー山口で初めての個展をしましたが、作品を発表し始める年齢としては大変に遅いので、経験を積む速度をあげる必要があると考えました。仮に1年に1回個展をする作家を基準とするとして、10年分を1年でやってしまえば良いという乱暴な発想から、2010年から2011年の一年限定で自主ギャラリーを運営することにしました。桜上水にある国道沿いの古い店舗物件を借り受けることができて、オープニングとクロージング展、それに幾つかの企画展はご縁のあった先輩作家の方々にお願いして、基本的には毎月1回で期間を2週間とする自身の新作展を行う場所とし、「ブロイラースペース(Broiler Space)」と名付けました。
「ブロイラースペース」での展示は個別にタイトルを付けず、全10回の連続した展示として『Monthly Exhibition #01』から『Monthly Exhibition #10』までの連番としました。初個展での展示内容は繋がったままプリントしたロール印画紙の二段掛けでしたので、これを基本に展示構成をすることにしました。更に基本のロール印画紙を軸に毎回新たな試みを展示構成要素として取り入れることを自分に課しました。つまり『Monthly Exhibition #01』を搬入して、実際に自分で展示されたものを見て、そこから感じたことを次の展示である『Monthly Exhibition #02』に反映させるというサイクルを繰り返します。それによって自分の作品への理解を深めることとあわせて、作品をどのように展示すれば良いのかを考えていくことが目的でした。
自主スペースなので会期中は鍵を開けて会場にいる必要がありました。2週間展示をして、その間に撮影・プリントをして次の展示に備えるという過密なスケジュールに加えて、労働に充てられる時間が余りとれないという経済的な負荷もかかりましたが、良き協力者の力も得て何とかやり通すことができました。
このような過密な連続展示が全ての作家を志す人に有効な方法かどうかはわかりませんが、わたしにとっては大変に有効でした。頭の中で考えた展示プランを実際に構築して具体化すること、そこでの問題点の改善方法や新しい発想を取り入れた展示プランを考え、2週間後には実際に構築して具体化していきます。そこで重要なのは作品制作おける「思想」との整合性です。常に自分の行為(撮影・プリント・展示、ひいては言動も)について、自分の「思想」から外れていないかを自らに問いながら展示を続けていました。
「ブロイラースペース」の期間が終わってからは毎月といった頻度で展示をしてはいませんが、自分の「思想」と整合しているかを基準として、これまで積んできたものに新たな試みを展示構成要素として取り入れることは続けています。