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2017-07-28

Essays #24 / 影響

essay_24

Text written by Komatsu Hiroko

「ノイズ・ミュージック」と呼ばれているものについての一般のイメージは「暴力的な音楽」ということでしょう。秋田昌美は“「暴力的な音楽」と言うのは音楽的既成概念を破壊したり、社会に対する怒りであったり、といった様々な衝動の現れであって、現実の暴力とは違うということです。”と語っています。彼の演奏における様々な音の配置やタイミングなどを聴けば、実際の暴力とは掛け離れた繊細な音楽であることが了解できます。
どんなジャンルであっても、その既成概念を破壊するものは「暴力的」という言葉をもって論じられる場面が多く見受けられます。例えば写真で新しいものを生みだそうとするならば、確かに写真的既成概念の破壊が求められます。その破壊は過去の否定や拒絶ではなく、理解し継承しつつ行われるべきものではないかと思います。例えば秋田昌美はハードロックやプログレという、一見するとノイズとは正反対にも見えるスタンダードな音楽の流れから強い影響を受けています。
写真における歴史の参照も重要かもしれませんが、写真とは異なる領域である映画や音楽、文学の影響がとても重要だと思います。わたしはチャールズ・ブコウスキーを愛読しており、その言葉からの影響は少なくありませんが、直接的にわたしの写真にその影響を見て取れるとは思いません。自身の制作のジャンルに拘泥することなく、広くそして深く外部と接することで、それらが干渉し合い思わぬ方向に向かったりと、既成概念を破壊する力の強さに影響すると考えています。