toggle
2017-08-19

Essays #27 / ポストカード

essay_27

Text written by Komatsu Hiroko

展覧会を開催するにあたってはお知らせのためにポストカードを用意します。貸し画廊を利用する場合、用意したポストカードを画廊に500枚程度納めるのが一般的のようです。印刷の注文は100枚単位で増減可能でありますが印刷のための版を作ってしまえば500枚も1000枚もあまり価格は変らないため、自分で発送する分や他のギャラリーなどに置いてもらう分など含めて1000枚注文することが多いです。
宛名を書く面には会期や展覧会場の地図など基本的なお知らせを記載しますが、その裏面は作家によって大きく異なることになります。自宅にポストカードが送られてきたり展覧会場でたまたま手に取ったりと、どのような状況でも良いのですが、全く知らない作家のポストカードを見ての判断はこの裏面にかかっているといっても過言ではないかもしれません。写真家のポストカードを見ると多くの場合その展覧会でメインに扱っている写真の画像をこの裏面に印刷しているようです。
かつてブロイラースペースを運営していたときは、無名の作家を外部に印象づける有効な方法はないものかと考えた末に、あえて写真の画像を使用せず、名前・会期と会場名である「Broiler Space」、そして『Monthly Exhibition #01』と印刷することにしました。白地に文字だけ、しかも意味の分からない「Broiler Space」と書かれている上に、同じデザインで『#01』から『#10』までが毎月届けられたら印象に残るであろうとの想定でした。実際に「Broiler Space」に足を運んだ人はほとんどいませんでしたが多少は効果があったようで、色々な人にお会いした際に「白いポストカード」とわたしの作品がその人の頭の中でつながる場面に遭遇することがありました。
その後、貸し画廊などで作品を発表していたときは一般の例にもれず写真を一点選んでポストカードの裏面に印刷していましたが、楢橋朝子さんとお話しする機会を得たときに、ポストカードで作品の一端でも伝えようとするならば小松浩子のポストカードは一点の写真を印刷したもので良いのかとの指摘をいただきました。確かに一点で写真を見せることはしていないどころか全体でも見せることはしていません。会場全体がひとつの作品であるのでインスタレーションを撮影した写真を載せることも考えましたが、会期の前に送る必要のあるポストカードには、過去のインスタレーションを撮影した写真を載せることしか出来ませんし、それでは今回の展覧会のタイトルを記したポストカードに別のタイトルを持つ作品が掲載されてしまうことになります。それから暫くポストカードの裏面のことを考えていました。
プリントをしているときに焼き方が暗すぎたり明るすぎたりして使えない印画紙があります。普段は捨ててしまっていたのですが、物質としての印画紙がわたしの作品では重要な位置を占めることに思い至り、これを小さくカットしてポストカードにマスキングテープ貼付けることにしました。その後『Wrap』という作品もインスタレーションの要素に加わりましたので、小さくカットした印画紙を実際に作品に使用している梱包用ラップで包んでホチキスでポストカードに留める方法に変えました。
1000枚のポストカードを加工するのは手間と時間が掛かりますが、作品制作の意図に沿った方法が得られて良かったと思っています。