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2016-05-21

Quotation #15 / 証明書つきの異常

the-brand-of-prevention_20160521

イヴァン・イリッチ『脱病院化社会 医療の限界』(金子嗣郎訳、晶文社、1998)より引用
Text quoted from “LIMITS TO MEDICINE MEDICAL NEMESIS : THE EXPROPRIATION OF HEALTH” by Ivan Illich

どんな社会でも安定しようとすれば証明書つきの異常を必要とする。奇妙な様子をしたり行動のおかしい者は、彼ら共通の特徴が公式に命名され、彼らの人を驚かす行動が一般に認められる整理棚に整理されるまでは破壊的なものなのである。名前、役割を与えられることによって、不気味で人を驚かす変わり者は馴らされるし、あまやかし、除け者にされ、抑圧され、追放されうる予言可能な例外者になってしまう。大部分の社会には、普通でない者に役割を与える人々がいる。社会に通用する処方にしたがえば、そうした人々は異常の本性について特別の知識を持つ者なのである。彼らは異常者が幽霊にとりつかれているのか、神がのりうつったのか、毒にやられたのかを決めるし、罪のために罰せられているのか、魔女の復讐の犠牲者なのかをも決める。こうしたレッテルを貼る仕事をする人は、必ずしも医学的権威になぞらえれれる必要はない。すなわち彼は法律的、宗教的あるいは軍事的力の所有者でもよい。異常の底にある霊を名付けることで、権威は異常者を言葉と習慣のコントロールの下におき、彼を社会制度に対する脅威からその支持者にしてしまう。病因とは社会的に自己完結的なものである。すなわち聖なる病いが神の憑依によっておこるなら、神は癲癇発作の中で語るのである。