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2016-07-16

Quotation #23 / 工場製食品

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ジム・メイソン ピーター・シンガー『アニマル・ファクトリー 飼育工場の動物たちの今』(高松修訳、現代書館、1982)より引用
Text quoted from “ANIMAL FACTORIES” by Jim Mason and Peter Singer

機械化とより大規模な集約飼育、そして化学物質の濫用は、動物の飼育コストを引き下げるかもしれないが、もしそういう方法を採らなければ単なる事故ですんだかもしれないことから、被害を蒙る危険を増大させている。1973年6月、発ガン性のあるポリ臭化ビフェニール(PBB・ポリ塩化ビフェニール<PCB>の塩素分子が臭素分子に置換された化学物質でPCBの類縁化合物——訳注)を含む難燃剤が、数百ポンドもどっさりと動物用飼料のなかにぶちこまれた。この偶発事故はミシガン・ファーム・ビューローの飼料用製粉機の1つで起こったものであるが、その結果、3万頭以上のウシ、200万羽のニワトリ、数千頭のヒツジとブタが、死ぬか、あるいは工場で殺されなければならなかった。州当局は、官僚のつねとしてのものぐさであったのか、あるいは無能力であったために、なかなかその飼料を回収せず、その出所もつきとめなかった。事故発生後、10ヶ月目に、連邦政府農務省の化学者によって毒物が鑑定され、さしもの州政府もようやく重い腰をあげたのであった。このときまでに、PBBという毒物に汚染された肉やミルクや卵はすでに消費者の食卓に運ばれていたのだ。76年の夏の間にミシガン州で行われた検査では、乳児を抱えている母親の96%の母乳からPBBが検出された。PBBはまた、汚染された動物の体内を通って糞尿のなかにも入り、最後は土壌や湖や河川にいきついた。かくしてミシガン州の野菜からは、発ガン性のある残留化学物質が発見されはじめた。77年3月29日のミシガン州議会商業小委員会に先立って行われた証言によると、州の住民はそのときすでにほとんど全員が高濃度のPBBによって汚染されていたのである。
これはたんに1つの事件にすぎないのだろうか。毒物学のあるオーソリティの確信するところによれば、「PBBがもたらすものは、ミシガン州のみならず合衆国全体、いや世界の多くの地域においても、われわれ人間がいま出くわしはじめたばかりの問題の性格を象徴しているのである」。
工場の生産過程で医薬品や化学物質を日常的に使用していることが主たる原因となって、動物製品に危険な物質が残留する事態を生んでいる。DES(ジエチルスチルベストロール)には発ガン性があるという証言は、何年も前から何人もの人によって行われてきたのだが、それにもかかわらず、79年11月まではウシ業界ではずうっと使用し続けてきた。ますます多くの動物製品のなかから、医薬品や殺虫剤やその他の化学物質などの危険な残留物が出てきているにもかかわらず、政府は私たちを保護するために有効な手を打てないでいる。会計検査院の最近の報告によると、74年と76年の間に農務省がサンプリング調査した、すべての蓄肉および家禽の肉のうち14%に、許容基準以上に高レベルの医薬品と殺虫剤の含有が認められたという。同報告は、食用動物をめぐって使用される物質の多くが危険であることはすでに人の知るところであるとしたうえで、次のように記している。

生の蓄肉および家禽の肉に残留していそうなものとして、会計検査院が鑑定した医薬品および殺虫剤は143種類であるが、そのうち42種類は、発ガン性があることがわかっているか、あるいはその疑いをかけられているものである。また20種類は催奇形性のあることが、6種類には突然変異性のあることが分かっている。
ーワシントンD.C:アメリカ合衆国の会計検査院の会計検査官報告、1979年4月17日

ミルクの中に残留している抗生物質のために、アレルギー反応を起こす人がいる。その残留原因は、現在の酪農工場で日常化している乳房浸液と薬品の注入プログラムにある。また、トウモロコシや大豆やそのほかの穀物に使用される、塩素化された炭化水素(有機塩素化合物のことで、DDT、BHC、PCBの他、DDVPとかCNP<除草剤>などがある——訳注)は、ブロイラーの脂肪に蓄積する。この物質はいったんニワトリの体内に入ると、あとから汚染されないきれいな餌を与えても、5週間は高濃度のままとどまって、外へ排出されない。
さらにそのうえに、工場がより安価な飼料原料を探し求めるという事情が一枚加わって、消費者の健康に問題をひき起こすことがある。20年工場動物を扱ってきて、そののちに肉の検査官になった、ある獣医師の言によれば、「人がよくかかる主な病気のなかのいくつか、つまり、ガンや心臓病や胆石などの病気の……出所はこの国の精肉工場である」という。その飼料製造過程で、ガンの組織をリサイクルすることになるから、それが一因となって、工場動物におけるガンの罹患率が高くなる——彼はこのように確信しているのである。

あまりにもひどくガンに冒されていて使い物にならない動物の組織、1500万ポンド(約6800トン)はどうなるのか。それらは加工されてブタと鶏の餌になるのだ。その結果、人間と動物の食物連鎖を通して、繰り返し繰り返し、ガンに発展する可能性のある物質がリサイクルすることとなるのである。
——P・F・マクガーグル『ワールド・マガジン』1977年6月25日