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2016-09-03

Quotation #30 / 過剰社会化

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ナンシー・ジブス他著『ユナボマー 爆弾魔の狂気』(田村明子訳、KKベストセラーズ、1996)所収、ユナボマーの声明文「産業社会とその未来」より引用
Text quoted from a manuscript of Unabomber, “INDUSTRIAL SOCIETY AND ITS FUTURE” appreared in “MAd GENIUS: The Odyssey, Pursuit, and Capture of the Unabomber Suspect” by Nancy Gibbs, Richard Lacayo, Lance Morrow, Jill Smolowe, and David Van Biema with the editorial staff TIME Magazine

二四、心理学者は、子供が社会の要求する通りに考えたり行動したりする訓練を指して、“社会化”という言葉を使う。社会道徳を信じて、それに従う人々は社交的だとされて、社会に受け入れられる。左翼派は社会の異端児として扱われている現在、彼らを「過剰社会化」しているというのは一見不適当であるかもしれない。しかしこれは説明することができる。左翼の人々のほとんどは、それほど異端児というわけではないのだ。
二五、われわれの社会規制は、あまりにも人々を束縛しているために、誰も完璧に道徳的に考え、感じ、行動をすることができない。例えば道徳上では誰もが憎しみを持つべきではないとされているのに、本人が認めようと認めまいと、誰もがそのときどきで誰かを憎んでいる。ある種の人々はあまりにも社会化されているために、自分の頭で道徳的に考え、感じ、行動するのを重荷に感じるほどである。彼らは罪悪感を感じるのを避けるために、何か行動を起こすたびにまったく道徳的ではない自分の動機を無視して、何か道徳的な言い訳を常に考え出さなくてはならない。このような人々を指して、われわれは「過剰社会化」という言葉を使う。
二六、過剰社会化は、自尊心の欠如、無力感、敗北感、罪悪感などの感情を導く。われわれが子供を社会化させるうえで重要視するのは、社会の通念に反する言動を恥ずかしいものであると感じさせることである。もしもこれが行きすぎになったり、あるいはその子供が繊細であれば、彼は彼自身を恥ずかしい存在であると感じるだろう。過剰社会化された人間の考え方や行動は、そうでない人々よりも世間の目を意識するという意味で制限されている。人々のほとんどは、節操のない行いに時間を費やしている。彼らは嘘をつき、小さな盗みをはたらき、交通違反をし、仕事はさぼり、誰かを憎み、不当な手段を使って他人を出し抜こうと試みる。過剰社会化された人々はこれらのことができず、もし行えば恥と自己嫌悪の感情を持つ。過剰社会化された人々は、罪悪感なしにして不道徳な考えや感情を経験することすらできない。彼らは「不潔な」考えを試みることができないのだ。そして過剰社会化は道徳上の問題だけではない。われわれは道徳上の基準からはみ出ないようなふるまいをするために、社会化される。したがって過剰社会化された人々は、心理的に鎖でつながれ、社会が敷いたレール上の人生を歩むことに一生を費やす。これは過剰社会化された人々に、ときには深刻な苦難と、無力感を与えることになる。過剰社会化は、人間が相手に与える影響のなかで、もっとも残酷なものであることをわれわれは主張する。