toggle
2017-03-04

Quotation #46 / 限界の構造

the-brand-of-prevention_20170304

若林奮『I.Wー若林奮ノート』(書肆山田、2004)より引用

自分から極めて遠方に、或は非常に接近して、自分自身に接する限界がある。限界に至る不連続な距離は不明である。限界の構造がどの様なものか、自分自身の表面の厚みがどれだけなのか把握しがたいが、線的な空間に距離はあり、その距離の中に自分の作品があると考える。したがって、自分は作品の一方を見るが、他方は未知である。もし樹や犬が未知であれば、それらは自分からもっとも遠いところにあると想像出来る。作品の向こう側、自分からもっとも遠い箇所に犬や樹があり、作品の半分を見ているのであれば幸いである。しかし、未知は多くの場合名称を持たない。距離は時間をともなう。時間に対して自分は後退しなければならない。或は自分に関連する時間の前後を変えなければならない。作品が内在している距離は、それ自体不連続な時間を表明している。それは自分の知り得る時間である。しかし、作品の未知の側で、限界に接する時間は基準の手掛かりとなるかもしれない。自分の時間の限界について考えることはあっても、それに至る経過は不明である。作品はここで時間と重複する。